夜中の2時、私はいつものように眠りについていました。
そんな時、突然鳴り響く電話。
母からの電話でした。
「真っ暗や…誰もおらん…」と震える声で訴える母。
私はすぐに時計を見ました。
午前2時。
「お母ちゃん、今は夜中やで、病院やから、看護師さんもおるよ」と優しく答えました。
母の声は不安でいっぱいでした。
「ここどこなん。周りに誰もおらんし、電気もついてへん…」
4年前、1人暮らしの母は自宅で倒れました。
近くに越していた私が倒れている母を見つけ救急車を呼びました。
倒れる前日まで一緒に夕飯を食べていたのに・・・
89歳の母、やはり高齢になると一寸先も闇ですね。
それから病院での3ヶ月間の入院生活。
現在、その当時の記憶は、母にはもう残っていません。
入院中、母の認知機能は大きく衰え、介護度4の判定を受けました。
夜中、母は自分のいる場所がわからなくなることが頻繁にありました。
その夜も、カ-テンで仕切られた病室で母は一人、孤独と恐怖に包まれていたのでしょう。
窓の外は真っ暗で、病院の静けさがより一層、彼女の不安を募らせたのかもしれません。
「誰もいない…」
「暗くて怖い…」
母は何度も私に訴えかけてきました。
私は電話を握りしめながら、離れた場所にいる母の気持ちを思うと、
胸が締めつけられる思いでした。
安心させるために、私はこう言いました。
「お母ちゃん、私がいるよ。大丈夫やから。」
しかし、電話越しの母は、まだ不安そうにしていました。
認知症が進行している母の頭の中は、
私が想像もできないほど混乱しているのかもしれません。
自分がどこにいるのか、何をしているのかが全くわからない。
その中で、一人きりだと思い込む恐怖。
あの夜、母が感じた孤独は、私には想像もつかないほど深いものだったと思います。
私はその孤独を少しでも和らげるために、何度も何度も言い続けました。
「お母ちゃん、私はここにいるよ。決して一人じゃないよ。」
今は当時よりも認知機能は回復し、特養での話し相手も出来たようです。
しかし、ここまでの道のりも山あり谷あり( ;∀;)
皆様の体験もまた教えてくださいね。