ちえママのミニマル的シニアライフ

60代の暮らし・老後・年金・お金やらゆる~く語ってますます。

ニホンザル モズに涙が止まらない


 

私はめったに泣かない。そう、涙もろくないの。

それが何気なく見たドキュメンタリー映画で泣いた! 

こんなに涙が出るのはテレビでも日常でもほぼ無い。

 

悲しいとか可哀そうとか辛いとか、そんな感情では表せないほど胸に響いた。

心に刺さった!

 

そのタイトルは「ニホンザル モズ 二十六年の生涯

 

U-NEXTで観ました。

2006年の作品なので古いんだけど、古くさくないの。

もし、観ようと思われる方はここから読まないでね。

 

私はこの映画を見たことを後悔しました。

過酷な環境で生きる猿たち、

人間によって環境を変えられてしまうことに成すすべを持たない猿たち。

 

見ている側が人間社会を彷彿とさせ、世の無常を否応なしに感じさせられました。

もちろん猿と人間では思考力が違いますが、

猿にも思考や概念もあるという研究発表がされています。

「幸せ」だとか「孤独」だという言葉は無くても、感情があると思うと、

最期まで苦しく悲しかった。

 

そのモズとニホンザルのお話しです。

四肢に障がいを持って誕生したモズ

1997年7月四肢に障害をもった猿が長野県地獄谷野猿公苑で生まれた。

それがモズ。

 

※写真がぼけててすみません

 

この頃、日本各地の野猿公園でも手足に障害をもつサルが次々に誕生し、

マスコミで話題になったそうです。

原因は不明です。

障がいを持って生まれた他の子猿たちはほとんどが長生きできなかったそうです。

その中、モズは26才まで懸命に生きました。

ニホンザルの平均寿命は20才~25才なので天寿を全うしたということになりますね。

 

7才でお母さんになったモズ

初めての出産で女の赤ちゃんを授かりました。

猿は母親を中心とした家族形態で暮らします。

モズにとって家族が増えることはとても良かったと思いました。

 

その後も次女を出産し、生涯で7頭の子供を出産します。

障がいを持つ子猿は生まれませんでした。

3番目の男の子は事故で、7番目の男の子も原因は不明ですが亡くします。

でも、女の子たちは育ち、子供を出産し、モズの家族は13頭になります。

お互いに毛づくろいしたり、まったりした時を過ごしているのが、

彼女たちの最高の幸せのようです。

 

死産の我が子をいつまでも抱いている母猿

ニホンザルは初産はなかなか厳しくて死産になることも珍しくないそうです。

その日も死産の我が子をずっと抱いている母猿がいました。

時が経ってもずっと抱いており、その子はもう黒くなっていました。

公苑の職員さんがこれ以上はだめだと判断し、

エサをあげる際にスキを見て亡くなった子猿を母猿から離しました。

 

母猿は一瞬の出来事だったため、訳がわからずずっと探し、

そして、泣くような声で夜になってもずっと叫び声が続いていました。

 

同じ群れの猿たちはその母猿をただただ"大丈夫か"という目で見続けていました。

 

モズのお母さん(25才)最期の行動

ニホンザルはだいたい25才くらいから、自ら群れを離れていきます。

自分の死期を感じるのか、離れていった猿はどこにいったのかはわかりません。

モズのお母さんも25才の時に群れから離れていきました。

 

高齢になったモズの運命

モズが26才の時にとても悲しい出来事が起こります。

 

地獄谷野猿公苑の猿が当初25頭だったのが、餌付けで380頭を超えたため、

キャパオーバーということで、別ける必要にせまられました。

そして、中国の動物園から100頭を飼育させて欲しいとの依頼があり、

それに応じられたのです。

その100頭はモズの群れになりました。

 

モズの娘も孫も仲間も全て連れて行かれました。

モズともう一頭の31才のおばあさん猿は高齢のため置いていかれました。

多分、訳がわからないですよね。

2頭は寄り添うように暮らしていましたが、ある日31才のおばあさん猿は姿を消しました。

モズはひとりぼっちになってしまいました。

 

モズの最期

何日か姿が見えなかったモズ。

公苑の事務所の資材置場の隅で死んでいるところを職員さんが見つけました。

資材置場は外からも入れるそうです。

その姿が少し映っていたのですが、もう、私は涙がとまりませんでした。

 

まとめ

ただ、人間社会には無い素晴らしい社会が猿の世界にはありました。

 

それは「障がい」という概念が無いということです。

モズは群れで生活する中、岩場を飛び、川を渡り、雪の斜面を降りるなど、

通常の猿でも過酷な中、当然かなり苦労したことでしょう。

 

※分かりづらいですが雪の斜面を降りる際、後ろ足が動かない写真です。

 

しかし、それにより群れから邪魔者扱いされることはありません。

ただ、付いていけなかったら置いていかれます。

これは野生動物の宿命ですね。

 

※長野県地獄谷野猿公苑では餌が不足する冬場に餌付けする程度なので、

ニホンザルはほぼ野生の暮らしです。

 

モズは物おじすることなく堂々と暮らしていました。

「なぜ、自分は他のものと違うのか」「なぜ、自分には出来ないのか」などという

比較も悲観することもないのです。

最期も安らかに逝ったのでしょう。多分。そう思いたい。